スポーツ、特にトップアスリートのトレーニングにかなり詳しい方はご存知かもしれませんが、トップアスリートや一流選手は「歩き方」や「立ち方」から改善するトレーニングをしています。
立つ、歩く、腕を上げる、腕を伸ばすといった基本動作を「正しく」(本来使うべき筋肉を使って)行う練習です。
代償動作が無くなると動きのパフォーマンスが上がる
本来の身体の構造と違うために動きの効率が悪いけど、目的は達成できる動きを「代償動作(代償運動)」と言います。
現代人は歩く・立つ・手を上げる・足を上げるなどの基本動作からほとんど代償動作(本来はこの筋肉を使う動きなのに違う筋肉で無理やり同じ動きをしている)で動いています。
例えば代償動作無しで動ける人ならシングルレッグスクワット、つまり「片足立ちで立った状態から、片足のままで座って立ちあがる」というのは普通にできます。かなり太っている人でもできます。(人間の身体の構造上できます)
それができない場合は、座った状態から立ち上がるという時点で正しい動き方が出来ていないことになります。(できたとしてもパワーで無理やりできる場合は代償動作です)
間違った動きでトレーニングをすると、間違った動き方の筋肉が強化される
代償動作のままでトレーニングをすると、間違った動き方の筋肉が強化されます。それは結果的にヒザや腰など身体を痛めるの原因になります。
某結果にコミットするジムや似たようなパーソナルトレーニングが一時期流行りましたが、そこで結果は出たけどその後に身体を壊した人が多いのは、そういう無理なトレーニングを行ったことが原因だとトレーナーの間では言われています。
この代償動作をなくしていくためのトレーニングをすることで、体を本来の構造通りに使えるようにして、無駄な緊張や力み、無駄な動きをなくすことで運動のパフォーマンスを上げる。
それができるとスポーツはめちゃめちゃ上手くなるし、ケガのリスクも小さくなり、選手生命も長くなります。
代償動作の改善を正しく指導できるトレーナーはほとんど居ない
ただ、これはすごく難しくて、まずそもそもそういうことを正しく指導できるトレーナーは非常に少ないです。
一般的に正しいフォームや正しいとされている筋トレの動きは、実は代償動作で強い力を出すトレーニング方法だったりすることが多いです。
有名なフィットネスクラブやジムのトレーナーやスポーツのインストラクターくらいだと、代償動作という言葉さえ全く知らない人も多いくらいで、正しい知識やトレーニング指導ができるのはごくわずかです。
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大小・・・動作?
そういったことが正しくできるトレーナーは、プロが高いお金を払って専属で契約していたり、富裕層向けの会員制ジムなどにいます。
一般の人が普通に通えるジムやパーソナルトレーニング程度では正しく指導できる人はほぼ居ないと言われています。
さらに、運よくそういったトレーナーのトレーニングを受けることができたとして、普段の慣れた動きを直すのって難しいものです。
やることは簡単、でも継続が難しい
「この筋肉を使って動いているので、この動作はここを使わずにこっち側の筋肉を使って動くように練習しましょう」「そのためにはこういう動きを毎日何回繰り返してくださいね」
例えば歩く時なら前モモの筋肉を使って歩いている人が多いですが、前モモは本来はブレーキをかける筋肉なので、本来はモモ裏の筋肉を使います(前モモを使う歩き方はエネルギー効率が悪く、疲れやすいし大きな力も出しにくくなります)。
これは一見簡単なようでとても難しく、箸の持ち方や鉛筆の持ち方を直すのが難しいのと一緒で、理屈は簡単だけど実際にやるのはすごく難しい作業なんです。
普段の慣れた動きで同じことができてしまうから、そっちに戻されてしまう。一日に何度も行う動きだから、ちょっとできてもすぐ元に戻されやすい。
毎日何千歩も歩くのを、毎回正しい動きを意識しながらできるか?
というと、「そんな時間はない」という人がほとんどです。
そういったものを何か月もかけて地味な動きで動き方の神経を改善した後に、その動きで負荷をかけるトレーニングを始める。
ただ、これが正しくできるようになる効果はかなり高いんです。
歩く・立つは全ての運動の基本動作だから効果が高い
「歩く」というのはどんなスポーツでも基本の動作なので、歩き方が変わるだけでパフォーマンスは大きく変わります。
歩くというのは、今いる場所から前に動く動作。
その場所から動かないスポーツは少ないので、ほとんどのスポーツの基礎だし、「走る」は歩くを速くしたものだし、ドリブルは走りながら行いますね。
そして歩くのベースにあるのは「立つ」や「片足立ち」です。
こういった基本動作がどれだけ高い精度で正しく動けるかがパフォーマンスに大きな影響を与えるし、「歩く」というのは一般人の歩数でも1日何千回と行う動作。日常生活でも大事な動きです。
だから超一流のアスリートはそこからやるんです。(大丈夫、そこまでストイックにやらなくてもいい簡単な方法があります^^)
正しい動きは年齢や筋力に関係なく身につく
ここで一つポイントがあって、正しい動きというのは年齢や筋力に関係なく身につけることができます。
そういった指導をしてくれるジムでは、トップアスリートでも健康のために来ているおばあちゃんでも、全く同じ動きの練習をさせるそうです(富裕層向けジムに通っている人の話で聞きました)
動きの神経の改善なので負荷の強度ではなく、まずは「正しい筋肉を使った正しい動き」から始める。
だから高齢のかたでもできるし、身につけたら一般的に体力が衰える年齢になっても使えるんです。
イス軸法で正しい動きに「すぐに」「勝手に」近づく
私はプロのスポーツトレーナーではないのでそれらのトレーニングの本質部分はわかりません。
ただ、イス軸法を行うとすぐにその「正しい動き」に一気にかなり近づきます(近づくのか、すでにできているのかは定義がわからないのでわかりません。機会があれば検証のためにそういったプロトレーナーの方に見てもらいたいですね)。
実際に自分の歩き方や体験会参加者の歩き方を観察すると、イス軸法の前と後では使っている筋肉が違っています。意識して変えているのではなく、同じように歩いていて使う筋肉が変わっている。
イス軸法の前後で歩き方が変わるのは体験会の参加者も体感していただけます。
イス軸法では呼吸も深くなるので、呼吸も代償動作(肩などを上げて吸う)ではなく横隔膜などの正しい呼吸のための筋肉が使えているのではないかなと思います(すみません、そこまで細かく内部の筋肉を認識できません)
そう考えると、イス軸法はかなり正しい動きに近づきやすいですね。
5秒でできて、動き方が変わる。
教わるのが簡単(教えられる人がいる)というのも、身につけやすさという点でも、お金の面でも、時間的にも、労力的にも正しい動きが身につきやすい。
そんなイス軸法がもっと広まってくれたらいいなと思います。