人間にはホメオスタシス(恒常性維持機能)というものがあります。
ホメオスタシスは「いつもと同じ状態」を維持しようとします。
これは、体温を一定に保つとか、脈拍を一定に保つとか、いつもと同じ状態(=生きていられる状態)でいるための機能、生きるために備わった機能だからすごく強力。
「生きていること」が最優先で、”快適に生きる”とか”長く生きる(未来の話)”とかよりも”確実に生きていられること”、つまり”今の状態”(今生きてますよね)を維持しようとします。
何か変化したらもしかしたら生きていられないかもしれない、だから今を維持する、そんなイメージです。
ダイエットや筋トレや運動の習慣がつかない原因
ダイエットとか筋トレとか、健康のための運動習慣とか、何か新しい習慣を急に始めると続かないのはこのホメオスタシスの力が働くのが大きいです。
あきらかに「こうしがほうがいい」とわかっていることが、頭ではわかっているのにできないのはこのホメオスタシスのせい。
自分:「健康のために運動しよう」
ホメ:「え?だって運動してないけど生きてるじゃん」
自分:「よし!腕立て20回達成!」
ホメ:「何これ!筋肉が炎症起こしてる!やめさせなきゃ!」
痛み(筋肉痛)とかだるさ(疲労感)などでやめさせようとしてきます。
人間のように「正しかった」「間違っていた」とかはなく、過去のデータも未来の想像もなく、ただ「生きていられる今のこの状態」を維持しようとする。そんなイメージでいるとわかりやすいです。
ホメオスタシスは脳(思考)や感情を支配していると思った方がいい
筋トレを始めると続けると痛み(筋肉痛)とかだるさ(疲労感)などでやめさせようとしてくると書きましたが、それだけではありません。
脳や感情も支配していると思うとわかりやすいです。(厳密にそうではないですが、そう思っているとコントロールしやすいです)
初期の頃は筋トレを「やりたくなくなる(感情)」ようになりますね。それでも続けていると「これって意味あるのかな?」「自分の体質だとあんなふうになれない」などと思考まで筋トレをやらなくてよい理由を探したり、「今日は忙しいから」と言い訳を考えついたり、肉体面、感情面、思考面から止めるためのアプローチをかけてきます。
ホメオスタシスに打ち勝つためのコツ
ホメオスタシスに勝つためのコツは、ホメオスタシスが止めようとしてくるブレーキと、続けるためのアクセルの強さのバランスをうまくコントロールすることです。
人の行動は常に「やりたい」と「やりたくない」のバランスがどちらに傾くかで決まります。
これは、「楽しい」「やりたい」という行動したい気持ちややる気、人によっては根性や強い意志の力などで、行動できる状態を維持すること。
「よし!今日から筋トレしよう」と決めたときはやる気が強いので行動できますが、急に上がったやる気はだんだん”いつもの状態”まで下がっていきます(これもホメオスタシス)。
だから強いやる気に乗っかって最初から飛ばしすぎると、反動で強いブレーキがかかります。
ホメオスタシスは急に変わるほど強いブレーキをかけてきます。
ホメオスタシスは急な変化を嫌うので、少しずつ少しずつ徐々に変えていくのがいいです。
ホメオスタシスのブレーキよりも少し強い力で継続することがコツです。
もう一つのコツは、モチベーション(「やる気」ではなく「動機」)を保つこと。
モチベーションは「やる気」をいう意味で使われますが、本来は「動機」です。「楽しい!」「できた!」「これを続けたらこうなれる」といった行動の動機。
ホメオスタシスは変化しようとするとやる気を下げてくるので、それ以上にやる気が上がっていれば行動できます。
小さな変化を喜ぶことができるとモチベーションは上がりやすいです。
いきなり腕立て100回を目標にすると、昨日10回が今日11回できるようになったことを喜べない人が多いです。(=やる気の数値が上がらない)
それだけじゃ喜べないから「まだまだだけどせめて20回くらいはすぐにできるようにならなきゃ」と焦ると、慣れていないうちは急な変化になります。
繰り返しますが、ホメオスタシスは急に変わるほど強いブレーキをかけてきます。
習慣化したらホメオスタシスは味方になる
ある程度の期間続いて「筋トレするのが普通」になると、今度は「やらないと気分が悪い」みたいになってきますよね。習慣化の敵だったホメオスタシスも、習慣化ができてくると続けるための味方になります。
常に「今の状態」「いつもと同じ状態」を維持しようとします。
だから、習慣化の完成は42日間がポイントと言われます。(21日、42日、49日、66日など諸説あります。行動習慣、身体習慣、思考習慣など)
最初の3日間(3日坊主)、3回続けることは一つの大きなポイント。急にやる気が上がって「やる気をドーピング」したような状態で始めて、やる気が元に戻って継続できなくなるまでの最初の難関の期間。
7日間、このくらい続くと、それをやることが「いつもと同じ状態」になってくる、やる気のドーピングなしでも続けやすくなる。
21日間(7日間×3回)で習慣化が完成とする考え方、21日間×2回(陰陽)の42日間チャレンジなど、いろいろあります。